昨日の精神で今日の課題に挑もうものならば、それは失敗する運命にあるだろう。何世紀も前の武器で今日の戦争を戦うようなものだ。しかし、まさにこれが世界中のビジネスリーダーが現在行っていることなのだ。彼らはリーダーシップにおいて従来の産業思考を適用しており、階層の頂点に君臨する上司のつもりでいる。利益ばかりを追求し、目を向ける先は純利益のみだ。重大な決定は全て自ら下し、被雇用者に直接命令を与え、給与やボーナスを使って従業員への動機付けを行っている。

このような操業になっているのは、それが企業にとってベストであると信じ込んでいるからだ。しかしそれは間違いである。

従来式のリーダーシップを支える理論とは、エンジニアであるフレデリック・テイラーが草分けとなる書『科学的管理法の諸原理』を著した20世紀初頭に由来する。同書は大量生産の効率を上げる技術を解説しつつ、コンセプトとしての労働を変えただけでなく、世界を変えたのだ。それ以来この動きは「テイラー主義」として世界中に存在することになった。

しかし、ここから既に100年の歳月が経過している。

時代は変化を遂げた。労働者はもはや生産ラインや事務所で動く二本の手ではない。リーダーはもはや何事もなくマホガニー材の机に座ってはいない。組織内の情報はもはや上から下へ流れていくだけではなく、新たなアイデアも、もはや秘密研究や開発部署のみで生まれるものではない。そして、決定はもはや閉ざされた扉の奥で経営陣のみが下すものではない。企業はもはやこれらの制限に束縛されてはいないのだ。

そこで、新しい何かが生まれる時が来たのである。

その新しい何かとは、「脱上司」だ。

脱上司は現在のところ書名でしかないが、そのうちすぐに、より優れたガバナンス、より高い組織の透明性、参画性の拡大、排斥行為の縮小、改革の増加、休止時間の減少を目指す動きを生み出し、最終的には、より優れた世界を導くことになる。

そのコンセプトは3つの構成素で成り立っている。

  • 脱上司、新たな動きの名称。
  • 脱上司、上司の反対語。
  • 脱上司を行うこと、従来の組織をより組織の目的に適ったものへと変えること。すなわち、持続可能性を高め、参加する意欲を高めるもの。

来る数十年間の時の中で、労働のコンセプトは本質的な変化を遂げることになるだろう。

世界のほぼ全土がソーシャルメディアによって繋がっており、その導入によって産業が自らに顔を向けるようになった。過去には不可能なことだったが、現在では様々な境界線を越えることができるようになった。機能的境界や階層的境界、法人的境界、職業的境界、そして国家や大陸の境界。更にプロフェッショナルとしての生活に帆を揚げる若者たちは、労働や経営者、企業に対し、あなたが就職の際に抱いていたものとは完全に異なった認識を持っている。この新世代の労働者らは、自分が理解できないことや意味を見出せない命令に従うことができない。階層は崩れ、コミュニケーションは境界線を越えている。

このような変化によって地滑りが引き起こされ、我々に労働のあり方の転換を迫っている。その解決策として我々は脱上司を打ち立てた。

脱上司10原則

  1. 利益よりも目的に焦点を当てる。
  2. 古い階層を解消して全体での協働を推奨する。
  3. 事業を無限のソーシャルネットワークへと変容させる。
  4. 労働のトップとなって最高の人材を引きつける。
  5. 身を引いて被雇用者にリードを執らせる。
  6. 顧客を運動のパートナーおよび支持者へと変身させる。
  7. 融通の利かない給与水準やボーナス制度を、これらに執着する利己的な被雇用者もろとも取り除く。
  8. 研究開発など企業活動に外部の人材を取り込む。
  9. 失敗を許容し、失敗についてオープンに語る。
  10. ソーシャルメディアの利用を通して組織全体の対話を強化する。

脱上司があなたのプロジェクトとなる理由。

アップルやグーグル、レゴについて考えて頂きたい。これらの企業はそれぞれ産業の旗艦となって文字通りライバルを一掃した。その理由とは。彼らは目的を持っているのである。産業のマーケットリーダーとなって右肩上がりの総売上を達成することだけが狙いではない。その分野、そして社会に変化をもたらそうとしているのだ。より高みへと向かうため、自らの目的に一心に目を向けている。

御社に目的はあるだろうか。もしなければ作るべきである。明確な目的を特定し、それを核心事業にすることができる企業にのみ未来はある。

当書を読む理由。

変化は自ら歩いては来ない。定着した揺るぎないシステムを変えることは長き闘いとなる。不可能と言う者もいる。それでも我々は可能であると信じており、これを実現するための方法を一歩ずつ解説した。ここから大きな変化を生み出すことができる。大規模な変化を達成した時、更に大きな構図に変化をもたらすことができる。そしてそれが、革命となるのだ。